住宅の安全性を確かめるために行う耐震診断は、建物の現状を正確に把握し、地震への備えを進めるための重要な工程です。必要な書類の準備や調査内容をあらかじめ知っておくことで、診断をよりスムーズに受けられます。本記事では、診断の流れだけではなく、準備すべきものなどもあわせて解説します。
耐震診断の流れ
住宅の安全性を確かめるために行う耐震診断は、国土交通省のガイドラインに基づいて実施されます。診断は大きく「予備調査」「現地調査」「診断評価」の3段階で進み、診断の種類によってはより精密な調査を行うこともあります。
予備調査
予備調査は、建物に関する基本情報を整理する段階で、所在地、設計者や施工者、用途、設計・竣工年、延床面積、階数、使用状況、増改築の有無などを確認します。
また、確認申請書類、構造図、地盤調査資料、検査済証などの関係書類もチェックします。これらの資料が揃っていると診断の精度が高まるため、事前に確認しておくとスムーズです。
現地調査
現地調査では、専門家が実際に建物を訪れ、図面と実際の構造が一致しているかを照合し、さらに外観調査により、壁のひび割れや基礎の損傷、劣化状況を確認します。
敷地内調査として、地盤の状態や敷地の傾斜なども細かくチェックします。床下や天井裏を確認するため、点検口を開く準備が必要な場合もあります。これらの調査には段階があり、家主自身が行う簡易的なセルフチェックから、図面と現地確認を合わせた専門的診断、そして補強工事を前提とした精密診断まで、目的に応じて選択できます。とくに精密診断では壁や天井の一部を解体して内部構造を確認する場合もあり、より正確な診断結果が得られます。
診断評価
予備調査から現地調査までの工程を経て、建物の耐震性が評価され、補強の必要性や優先順位が示されます。
診断と補強工事を含めると、一般的に3〜4か月ほどかかるため、スケジュールには余裕をもつことが大切です。
耐震診断に必要なものとは?
耐震診断をスムーズに行うために、いくつか準備しておきたいものがあります。
耐震診断に必要なもの
耐震診断をより正確に行うためには、建物の構造がわかる図面資料が重要です。とくに必要とされるのは以下の書類です。
・平面図=筋交い位置がわかるもので、耐力壁の位置や壁の量を判断するために使用します。
・立面図=建物の高さがわかるもので、建物の重心や高さを判断する際に必要です。
・矩計(かなばかり)図=床・壁・屋根の構成を把握し、地震に対する強度を評価するための重要資料です。
・仕上げ表・仕様書=屋根・外壁などの素材がわかるものです。建物の重量を推定する際に使用します。
これらは耐震診断において、建物の耐力壁の位置や材質を確認する上で欠かせない資料です。ただし、図面がない場合でも診断は可能で、現地調査で把握できる範囲の情報に基づいて行われます。
最近ではセンサーを搭載した特殊機器を使って壁内部を調査できる業者もありますが、すべての業者が対応しているわけではないため、事前に確認しておくと安心です。また、診断当日は全室の確認が必要になります。天井点検口の位置(押入れや洗面所にあるケースが多い)や床下へのアクセス(畳や床下収納を開ける準備)が求められる場合もあります。事前に家の整理をしておくとスムーズに調査が進みます。
診断前の準備
図面の準備のほかにも、床下・天井裏へ入れるように準備しておくと、よりスムーズに診断を進められます。
たとえば、畳を上げる、床下収納を開けておく、天井点検口の位置確認などです。また、当日は増改築の有無など、聞き取り調査への協力を求められることがあります。質問に答えられるよう、ある程度建物の状況を把握しておくとよいでしょう。
耐震診断を受ける前に知りたいこと
耐震診断を検討する前に知っておきたい重要なポイントがいくつかあります。
なぜ耐震診断が必要なのか
1981年6月以前に建てられた住宅は「旧耐震基準」で設計されており、大地震に対する安全性が十分とはいえません。
阪神淡路大震災、熊本地震、中越地震でも旧耐震基準の住宅が倒壊・半壊し、大きな被害を受けました。しかし現状では、耐震診断の認知度は高くなく、多くの古い住宅が対策されないまま残されています。自分と家族の命、財産を守るためにも、早めの診断が重要です。
耐震診断は義務か?
結論として、一般住宅には義務ではありません。
2006年の「耐震改修促進法」改正により、学校・病院・デパート・工場など一部の建築物には診断が義務化されましたが、個人住宅は対象外です。義務ではないものの、とくにリフォーム予定がある場合は合わせて実施すると効率的で、建物の長寿命化にもつながります。
耐震診断の費用
耐震診断を受ける前に、費用の目安をある程度把握しておくことは大切です。
費用の目安は、規模・構造・建築年数によって変動しますが、木造住宅であれば1棟あたり 約12万〜25万円、鉄筋コンクリート造の場合は1㎡あたり 約500〜2,000円となります。
補助金制度も活用できる
耐震診断や耐震改修には自治体の補助金が利用できます。
補助対象の基準は自治体によって異なるため、診断前に役所へ確認するのがおすすめです。また、国の制度として所得税の控除や固定資産税の減額措置が利用できる場合もあります。
まとめ
耐震診断は、建物の安全性を確認し、地震に備えるための重要な調査です。予備調査・現地調査・診断評価の3段階で実施され、図面や仕様書などの資料を準備しておくことで精度と効率が向上します。また、診断当日は床下や天井裏へのアクセス確保も必要です。補強工事まで行う場合は、調査から工事完了まで3〜4か月ほどの長期間になるともいわれているので、正確かつ円滑に調査を進められるよう、事前の準備を徹底するとよいでしょう。
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引用元:https://taishin-beri.jp/
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