2023年5月は地震が多く、1ヶ月で震度3以上が40回、震度5弱以上が6回を記録しました。南海トラフや首都直下型地震も懸念されるなか、耐震設備に不安をお持ちの方もいるのでは?本記事ではそんな方に向けて耐震リフォームの費用について解説します。工事の種類や工事すべき住宅の特徴も解説しています。
耐震リフォームにかかる費用の目安
木造建築2階建てや平屋の、耐震リフォーム費用相場はおよそ100~150万円です。とはいえ、家の大きさや内部の構造によって値段が変動するため、各自での金額シミュレーションを行うのがおすすめです。
耐震力アップのためにどんな工事が必要になるのか
単に工事をするといっても、具体的な内容が分からないとするかどうか決められませんよね。
ここでは耐震力アップのために必要な工事について解説します。また耐震リフォームを検討したほうがよい住宅の例も紹介。はじめに工事の種類について3つ紹介していきます。
壁の筋交い補強(25万円)
耐震工事のもっとも代表的な例が筋交いの工事です。縦の柱だけだと地震の横揺れに弱いですが、縦の柱の間に斜めに部材をつけることにより、強度を増やす方法を筋交いといいます。筋交いをしているかどうかで建物の耐震性が大きく変わってきます。
屋根の軽量化と補強(100万円以上)
建物のうえに重たいものが乗っていると、その分大きく揺れますから建物が倒壊しやすくなります。そのため耐震リフォームでは屋根を軽量化することもあります。
昔ながらの瓦は重たいものが多いため、現代で開発された軽い瓦に葺き替えるのです。屋根の軽量化をすることで大きな耐震効果が得られますが、高額になるのがデメリットです。
耐震パネルの取り付け(30~60万円)
耐震パネルを設置することも耐震リフォームの一環です。耐震パネルを設置することで力をいろいろな方向に分散でき、建物の変形を防げます。昔までは柱を取り払って工事を行っていましたが、近年では壁に取り付けるだけでよい耐震パネルも増えてきています。
耐震リフォームをしたほうがいい住宅
次は耐震リフォームをするべき住宅の特徴を解説します。自分では判断できない場合には、住宅の耐震性能を検査する「耐震診断」という調査があるので、そちらを行うことをおすすめします。耐震診断には簡易的な一般診断法と壁や床の中まで調査する精密診断法の2種類があります。
柱の腐食が進んでいる
シロアリや雨漏りなどの影響で柱の腐食が進んでいる住宅は、耐震リフォームを行った方がよいといえます。柱の腐食があると耐震性能が落ち、弱い地震でも建物が倒壊する危険性が高まります。
地盤が弱い
地盤か弱い場所に家を建てている方も、耐震リフォームをした方がよいでしょう。地盤が緩いと、地震による沈下事故や基礎や外壁に亀裂が入るクラック、建具の開閉ができなくなる開閉不全などの可能性が高まります。
また、家が不均一に沈下すると家が傾き、資産価値が低下するほか、家が過度に傾いたことによる健康被害が起きることもあるため注意が必要です。
壁の量が少ない
1階がガレージになっている家や、内装の関係で柱が少ない住宅などは、耐震性が低いため耐震リフォームを行った方がよいでしょう。
柱は家を支える重要な役割を果たしているため、柱が少ない住宅はそれだけで耐震性能が低くなっています。1階と2階が開放的に繋がっている「吹き抜け」の住宅も耐震リフォームは必須といえます。
リフォーム工事に利用できる補助金制度
ここまで工事の費用や耐震リフォームをすべき住宅について解説していきましたが、やはり金額面に不安が残るのではないでしょうか。
ここからは、金額の負担を少なくする補助金制度について解説します。条件に当てはまっていれば補助金を活用して耐震リフォームができるかもしれません。
耐震リフォームの補助金は自治体が行っている
耐震リフォームを行う場合、自治体によっては補助金が出される場合があります。ただ、補助金の額は自治体によって異なるため注意が必要です。
補助金の申請方法や条件については、自治体のウェブサイトを確認するか、市役所や町役場に問い合わせてください。以下に1例を載せています。
東京都の場合
東京都目黒区の耐震診断補助金は、昭和56年5月31日以前に建てられた建物に対して上限額150万円の補助金がでています。
また千代田区では「千代田区住宅付建築物耐震改修促進事業」として、非木造の建物の耐震化の補助金を上限額150万円で出しています。これらの区以外にも、多くの補助金が出ているため確認してみてください。
補助金は耐震診断が必要
補助を受ける条件は全国共通であり、1981年5月31日以前に建築された木造建物であることと、その住宅に居住していることとなっています。
また自治体による耐震診断を受ける必要があり、その結果「倒壊の危険性がある」と判断された場合にのみ補助金を申請できるのです。補助金を貰って耐震リフォームをしたい場合には、工事着工までに時間がかかるため注意が必要です。
まとめ
いかがでしたか?本記事では住宅の耐震性能に不安をお持ちの方に向けて、耐震リフォームの費用や、工事の種類、工事をすべき住宅の特徴を解説しました。
住宅の耐震性能は大きな地震が起こるたびに改訂され、どんどん強化されています。昔の住宅では基準値より上でも、現在の基準を下回っている可能性も十分に考えられます。この機会に耐震診断を行い耐震リフォームをしてみてはいかがでしょうか。