地震などの災害により、老朽化したブロック塀が倒壊する事故が全国各地で起こっています。現行の建築基準法を満たしていないブロック塀は耐震性が低く、このまま対策をしないと倒壊事故・避難経路をふさぐなどの恐れがあります。そこで、倒壊の恐れがあるブロック塀の耐震診断を行い、どのくらい危険な状態なのかを調べる必要があるのです。
ブロック塀の耐震診断も義務化対象?
今まで耐震診断が義務付けられていたのは、幹線道路に面する公共施設などの建物のみでした。しかし、老朽化した小学校のブロック塀が倒壊して人命が奪われる事故が起きたことを受けて法律が変わり、2019年1月1日から「避難路に面する一定規模以上のブロック塀」の耐震診断も義務化されるようになりました。
診断が義務化されるブロック塀の条件
耐震診断が義務付けられるブロック塀は、具体的にどのような条件なのでしょうか。国では、今の建築基準法制定の1981年以前に設置された公共施設などのブロック塀について耐震診断を義務付けています。
具体的には、避難路に面している「高さ80cm以上、長さ25m以上」のブロック塀が義務化の対象です。長さについては、各自治体で「8m以上25m未満」の範囲内で別途定めてもよいことになっています。
今の建築基準法では、ブロック塀は高さ2.2m以下、厚さ15cm以上(2.0m以下は10cm)、控え壁をつける、壁に鉄筋を入れるなどの基準が設けられています。
現行では、学校などの公共施設を想定して基準を定めていますので、一般家庭のブロック塀については、今のところ耐震診断の義務化の対象ではありません。
義務化の対象外でも危険性が高いケースとは
一般家庭のブロック塀は義務化の対象外ですが、場合によっては倒壊する恐れがあることに変わりありません。ブロック塀の修理が必要なときの目安は、傾いている、ひび割れがある、内部の鉄筋が見える・錆びているなどがあります。
今の建築基準法より後に設置されたブロック塀でも、設置されてから30年以上経つようであれば倒壊のリスクが高くなるといわれていますので、一度お住まいのブロック塀の設置年数を確認されることをおすすめします。
ブロック塀の耐震診断をする方法
ブロック塀の耐震診断を行うには、どのような手順で進めていくとよいのでしょうか。ここからは、ブロック塀の耐震診断をして修理が必要だった場合についての流れを解説します。
事前相談
耐震診断をして修理・撤去が必要と判断されたとき、国や自治体から耐震診断や工事にかかった費用への補助金が出るケースがあります。
補助金を受け取るには、耐震診断や修理をする前に、自治体へ補助金申請を完了していなければならないという決まりがあります。補助金申請をする前に工事の契約をしてしまうと、補助金を受け取れる対象外になりますので、注意しましょう。
現地調査
自治体窓口へ補助金について事前相談をしたのち、自治体職員によるブロック塀の現地調査が行われます。撤去が必要と判断されると、補助金の交付申請手続きができることになります。
交付申請には、自治体が定める交付申請書、施工業者が作成した見積書の写しなどが必要です。必要な書類を揃ったら自治体へ申請手続きを行います。
見積依頼
自治体へ補助金申請をするためには、施工業者への見積もりを取ることが必要です。コストを抑えられるよう、できれば複数の施工業者へ相見積もりを依頼しましょう。
一括見積サービスを利用するのもひとつの方法です。施工業者が決まったら、自治体へ見積書の写しを提出できるよう用意しましょう。
工事の契約・着工
自治体へ補助金申請をしたのち、交付決定通知を受け取ったら工事契約をする流れになります。
工事に倒壊してしまう可能性もゼロではなく、工事中には騒音や振動が伴いますので、お住まいの環境によっては施工業者から近隣への説明が必要になることがあります。
ブロック塀の耐震診断にかかる費用
ブロック塀の耐震診断や検査にかかる費用は数万円、修理・撤去費用は1平方メートルあたり5,000円~1万円程が目安です。
また、ブロック塀の耐震診断と修理・撤去にかかる費用への補助金制度があります。国からの補助金制度の他にも、自治体でそれぞれ補助金制度を設けていることがあります。
補助金額を、修理費用の1/2~1/4の金額と定めている自治体が多いです。補助金制度について、詳しくは各自治体に問い合わせてみましょう。
まとめ
今回は、ブロック塀の耐震診断の義務化が定められたこと、ブロック塀の修理・撤去にかかる診断やかかる費用への補助金制度があることなどについて解説しました。劣化したブロック塀は倒壊の恐れがあり、放置しておくと大変危険です。
耐震診断の義務化の対象ではないブロック塀についても、状態によっては修理・撤去を行ったほうがよいこともあります。
現在、国や自治体ではブロック塀の耐震診断や工事にかかった費用への補助金制度を設けているところが多くあります。補助金を受け取るには、工事の契約前に自治体への補助金申請が済んでいる必要があります。
補助金額は自治体によって異なりますので、あらかじめ各自治体へ確認してみましょう。