耐震診断を終えたあと…。耐震補強工事ってどんなことをするの?

公開日:2025/02/15
耐震補強工事

耐震診断を終えて、建物の耐震性に不安があると分かったら、次は耐震補強工事について考える必要があります。しかし、耐震補強工事とは、具体的にどのような工事をするのか、よく分からない方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、耐震補強工事の内容について詳しく解説します。ぜひ、参考にしてください。

おもな耐震補強工事の方法は3つ

鉄筋コンクリート造住宅の耐震補強工事には、主に強度向上型・靭性向上型、免震補強工法、制震補強工法の3つがあります。ここでは、耐震補強工事の内容を具体的に説明します。

強度向上型・靭性向上型

強度向上型・靭性向上型の耐震補強工法は、鉄骨のブレースや耐震壁の新設・増設により地震耐力を向上させる強度向上型と、柱へのモルタルの充填や炭素繊維シートで柱の破損を防ぐ靭性向上型に分けられます。強度向上型は建物の揺れを抑えて耐震性を高め、靭性向上型は揺れても破損しにくくすることを目的としています。

免震補強工法

免震補強工法は、建物と基礎の間に揺れを受け流す免震層を追加する工法です。地震の揺れを基礎から建物に伝わりにくくできますが、建物を油圧ジャッキなどでもちあげて施工する必要があり、費用と期間がかかるうえ、居住しながらの施工はできません。また、建物の構造や強度によっては施工が難しい場合もあります。

制震補強工法

制震補強工法は、建物内に揺れを吸収するダンパーを設置して建物を揺れにくくする工法です。内壁や外壁を取り除き、柱と梁または柱同士を接続してダンパーなどの制震部材を設置します。

筋交いの設置と同じ手順で施工できるため、居住しながら一部屋ずつ施工を進めたり、強度に問題のある部分にのみ施工したりできます。比較的住民への負担が少ない耐震補強工事です。

どの工法もそれぞれの特性や適用条件がありますが、住宅の地震対策としては、まず耐震診断を行い、専門家と相談して必要な補強方法を決定することが重要です。各自治体で補助金制度も施行されているため、早めの対策をおすすめします。

耐震診断の結果が工事の見積もりに影響する?

耐震診断により、耐震補強工事に必要な費用の見積もりがしやすくなります。新耐震基準で建築された建物だとしても、築年数の経過による劣化や大規模な地震発生への対策が重要です。ここでは、地震への備えに重要な耐震診断について解説します。

耐震診断とは

耐震診断とは、1981年5月31日までに適用された建築物(旧耐震)の性能を現行の基準(新耐震)に照らし合わせて確認することです。

建築基準法は、過去に発生した大地震による災害を契機に改正されてきましたが、全国では約900万棟もの建物がいまだに耐震化されていないのが現状です。旧耐震基準で建てられた建物は、震度6強から7の大地震に見舞われると倒壊する危険性が非常に高いと考えられています。

適切な大地震への備えには耐震診断が重要

耐震診断によって、建物構造の耐震性が明らかになり、耐震補強案や概算での耐震改修工事費用の検討が可能になります。RC造やSRC造などの非木造の建物の場合、1次診断では柱や壁の断面積から耐震性を確認し、2次診断では鉄筋の影響も考慮したうえで耐震性能を確認します。

新耐震基準で建築された建物でも、劣化が懸念される場合は耐震診断を受けましょう。今後、熊本地震と同規模の大地震が日本のどこかで発生した際には、多くの建物が倒壊する恐れがあります。

実際、2024年1月1日に発生した能登半島地震でも、旧耐震の建物が多数倒壊しています。建物の安全性を確保し、大地震に備えるためにも、耐震診断を受け、必要に応じて耐震補強や耐震改修をすることが重要です。耐震工事をする際は、耐震診断の結果をふまえて予算を確保し、万全の態勢で工事しましょう。

補強工事をしても耐用年数が延びるわけではないため注意!

補強工事によって伸ばせるのは建物の耐久力であり、建物の経済的な価値である耐用年数(法定耐用年数)は伸ばせません。耐用年数には、建物本体の寿命をあらわす物理的な耐用年数と経済的な価値をしめす法定耐用年数の2種類があるからです。

ここでは、建物の耐久力とは異なる、2種類の耐用年数について解説します。

物理的な耐用年数とは

物理的な耐用年数は、老朽化や劣化によるダメージにどれくらいの期間耐えられるかを示します。耐震補強工事をすると、大地震で建物が倒壊しないよう、建物の耐久性を向上させられるため物理的な耐用年数を伸ばせます。

法定耐用年数とは

一方、経済的な価値を示す法定耐用年数とは、減価償却費を計算するために設定された税制上の耐用年数のことです。減価償却費とは、建物などの固定資産が時間の経過によって価値を減らすことを考慮し、価値の減少分を費用として計算したものです。

法定耐用年数は、建物の価値が法的にほぼ無くなるまでの期間といい換えてもよいでしょう。補強工事によって伸ばせるのは建物の寿命である物理的な耐用年数であって、経済的な価値を示す法定耐用年数までは伸ばせない点に注意が必要です。

まとめ

今回は、耐震補強工事についてまとめました。鉄筋コンクリート造の建物は木造に比べて耐震性能が高いとはいえ、建物の形状や地盤、経過した年数によって必要な耐震補強を施す必要があります。工事の前の耐震診断により、工事に必要な金額をある程度、明確にできます。耐震補強工事は、建物の寿命を延ばせる工事ですが、経済的な価値である法定耐用年数までは伸ばせません。物理的な耐用年数と法的な耐用年数は、切り離して考えましょう。

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株式会社BERIの画像 引用元:https://taishin-beri.jp/

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会社名BERI日本建築検査協会ERIソリューション日本耐震診断協会ジャスト耐震設計さくら構造
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