耐震診断とは?種類や費用について解説!

公開日:2024/10/18
種類と費用

耐震診断とは、旧耐震基準で設計されている建物の耐震性を確認する作業です。

本記事では、耐震診断についての詳しい情報と、その種類や費用について詳しく解説していきます。

耐震診断を検討している方や築年数の経過している家に住んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

耐震診断とは

まずは、耐震診断とはどのようなものなのかを解説をしていきます。

耐震診断は、既存の建築物で旧耐震基準で設計された建物を、現行の構造基準(新耐震基準)にもとづいて診断することです。旧耐震基準で設計された建物は耐震機能を保有していないことが多いので、耐震性の有無を確認することは重要なことです。

また、現行の構造基準(新耐震基準)で建てられた建物においても、劣化などが懸念される場合には耐震診断を受けることが推奨されています。

理由

耐震診断を受けた方がいい理由について解説をしていきます。

耐震基準が含まれている建築基準法は、大地震などの発生を契機に何度も改正をされてきた歴史があります。国も旧耐震基準で建てられた建物の耐震化を推進していますが、全国ではいまだに約900万棟もの建物の耐震化が行われていないという現状があります

もし今後、震度6強から震度7の大地震に直撃されると、多くの建物が倒壊してしまう危険性があるのです。

そのため、耐震診断を行うことによって建物の耐震性を知ることや、耐震補強案や耐震改修工事を検討することは非常に重要なのです。

レベル

耐震診断には3つのレベルがあります。

第1次診断では、柱や壁の断面積から耐震性を確認します。設計図面が残っていれば建物の詳細な現地調査を行わずに、設計図をもとに計算のみで診断をすることができます

ただし、比較的壁の多い建物には適しているものの、壁の少ない建物では地震に対する耐力が過小評価されてしまいます。

第2次診断では、さらに鉄筋の影響も考慮して耐震性を求めます。1次診断よりも耐震診断の結果の信憑性が高く、学校などの公共施設の建物の耐震診断でも用いられる手法です。耐震診断のほとんどは、この2次診断であることが多いです。

第3次診断では、梁の影響を考慮して柱や壁の断面積の確認、鉄筋の確認、建物の保有水平耐力を確認します。

種類

耐震診断の種類について解説をしていきます。一般的に、予備調査、一次調査、二次調査、精密調査の順に精密になっていきます。それぞれについて詳しくみていきましょう。

予備調査

予備調査とは、建築物の概要を把握する作業です。基準の適用の可否や、現地調査および耐震診断で必要になる情報や資料の収集を目的として行います。とくに、構造図は最も重要なものです。

調査項目は、建物の名称、所在地、現在の用途、設計者、施工者、工事管理者、設計年などです。さらに、階数、高さ、構造種別、構造形式、基礎形式、面積、階高、形状の特徴、地盤、地形なども調べます。

一次調査

一次調査では、第1次診断による構造耐震指標の算出で必要となる3つの項目などについて調査します

1つ目は、構造部材の耐力を算定するために必要な材料強度と断面寸法です。2つ目は、経年指標に反映する建物の変形やコンクリートのひびわれです。3つ目は。形状指標に反映する建物の形状です。

また、建物の現状と設計図書との比較も念入りに行います。

二次調査

二次調査では、第2次診断または第3次診断による構造耐震指標の算出で必要となる3つの項目などについて調査します

1つ目は、構造部材の耐力を算定するために必要な材料強度と断面寸法です。2つ目は、構造亀裂および変形の発生程度とその範囲です。3つ目は、変質や老朽化の程度とその範囲です。

亀裂状況や老朽化の程度によっては、必要に応じて仕上材の一部を取り外した調査を行う必要があります。

精密調査

精密調査は、さらに正確に建物の状況を把握する必要がある場合に、二次調査に加えて4つの項目について行われます

1つ目は、コンクリートの材料強度とヤング係数です。2つ目は、配筋状態と鉄筋断面、鉄筋の降伏点強度の確認です。

3つ目は、施工状態、亀裂、欠損状態を考慮した部材断面性能の再評価です。4つ目は、コンクリート中性化、老朽化、鉄筋さびを考慮した材料強度の再評価です。

費用

費用について、建物の状況別に解説していきます。

RC造で延床面積が1,000m2〜3,000m2の建物

RC造(鉄筋コンクリート造)で延床面積が1,000m2〜3,000m2の建物の診断にかかる費用は、約2,000円/m2〜約3,500円/m2です

上記の費用は、一般図や構造図が存在し、検査済みの建物であることが証明可能な場合で、現地調査も含んだものになります。

一般的に、RC造(鉄筋コンクリート造)で延床面積が1,000m2以下の耐震診断料金は概ね2,000円/m2以上となります。また、建物の階数にもよりますが、延床面積の大きさと1m2あたりの単価はおおむね反比例します。

S造で延床面積が1,000m2〜3,000m2の建物

S造(鉄骨造)で延床面積が1,000m2〜3,000m2の建物の診断にかかる費用は、約2,500円/m2〜約4,000円/m2です

上記の費用は、一般図や構造図が存在し、検査済みの建物であることが証明可能な場合で、現地調査も含んだものになります。

一般的に、S造(鉄骨造)で延床面積が1,000m2以下の耐震診断料金は概ね2,500円/m2以上となります。前述したRC造(鉄筋コンクリート造)と比較して、500円程度割高になっていることがわかります。

木造住宅で延床面積が120m2ほどの在来軸組構法の建物

木造住宅で延床面積が120m2ほどの在来軸組構法の建物の診断にかかる費用は、約60万円〜約100万円です

上記の費用は、一般図や構造図が存在し、検査済みの建物であることが証明可能な場合で、現地調査も含んだものになります。

木造住宅では、床下や天井裏の目視調査を行い、その後耐震計算を行うという流れになります。

補助金制度

耐震診断には、補助金制度や融資制度があります。これらの制度は主に国の基盤制度を活用して、各自治体が行っているものです。

対象となる建物や金額などはそれぞれの自治体によって異なるため、利用をするには事前に自治体の窓口に相談をする必要があります。各自治体には相談窓口が設けられており、過去の事例や補強技術の紹介などのさまざまな支援や情報提供をしてくれます。

補助金制度を利用するには、耐震改修促進法における「認定」が必要などの条件があります。こちらも合わせて確認しておくようにしましょう。

各行政における補助金制度や融資制度については、自治体の窓口だけではなく「日本耐震診断協会」でも調べてもらうことができます。耐震診断の実施を考えている方は、一度問い合わせてみるのもおすすめです。

耐震診断費用の補助金

全国のほとんどの自治体では、耐震診断や補強設計、耐震改修工事を実施する際の補助金
制度が実施されています。

補助金を受け取れる条件は各自治体や年度、建物の規模によっても異なりますが、数万円から数百万円の補助が発生するケースもあります

耐震改修費用の補助金

耐震診断の認定を受けた建物に対する耐震改修工事費用の補助が受けられる制度も、年々整いつつあります。各自治体によってさまざまな規定や条件が定められているので、利用を検討している方はご自身の住んでいる地域の規定を調べてみてください。

まとめ

いかがでしたか。耐震診断は今ある建物の安全性を確認するための重要な作業であることがお分かりいただけたかと思います。

診断結果の精密度や目的によって種類も異なります。自分が住んでいる住宅や地域に適した診断や補助金制度を選ぶようにしてください。

東京でおすすめの耐震診断業者比較

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会社名BERI日本建築検査協会ERIソリューション日本耐震診断協会ジャスト耐震設計さくら構造
特徴耐震診断実績多数!調査から補強設計まで一貫化で迅速かつ高品質な診断技術時代の要請に合った付加価値の高いサービスを提供する建築物の検査・評価企業業界最大手機関の子会社だから安心・信頼!高い専門性と中立性の調査診断技術多様な住宅構造で調査・診断・補強設計が可能な耐震診断に特化した専門機関50年以上の歴史を持ちリーディングカンパニーとして公平な検査を行う企業耐震に特化したプロ集団が在籍している耐震診断・耐震補強設計専門事務所耐震診断専門のプロ技術者が多数在籍する構造設計事務所
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