
耐震診断を行い、耐震性に問題があると判断されたら、耐震補強工事やリフォームを行う必要があります。しかし「耐震リフォームにかかる費用相場がわからない」という人もいることでしょう。そこで本記事では、耐震リフォームにかかる費用の目安や、利用可能な補助金についてまとめて解説します。ぜひご一読ください。
耐震リフォームを行う前の耐震診断の手順
耐震リフォームを行う際には、まず「耐震診断」を受けることが非常に重要です。耐震診断とは、既存の建築物が地震に対してどの程度の耐震性能を持っているかを評価し、耐震リフォームが必要かどうかを判断するための調査です。
耐震診断は、国の「耐震改修促進法」に基づく国土交通省の指針に従って行われ、資格を持つ専門家のみが実施できます。たとえ建築士の資格を持っていても、耐震診断資格講習を修了していなければ診断を行うことはできません。専門の資格者が診断を行うことで、新しい耐震基準に準拠した正確な評価が得られます。
耐震性能の評価基準
耐震性能の評価は、主に4つの要素を総合的に考慮します。まず、建物の強さ、つまり地震の揺れに耐えるための頑丈さを見ます。次に建物の粘り、すなわち地震の力をしなやかに逃がす能力です。
さらに、建物の平面形状や断面の構造的バランスといった建物の状況、そして経年による劣化や老朽化の度合いも重要な判断基準となります。これらの評価によって、リフォームが必要か否かが決まります。
診断の流れ
耐震診断の流れは大きく分けて3つの段階に分かれています。まず、予備調査があります。ここでは、実際の現地調査を行う前に、どのような診断方法を用いるか決定するために情報収集を行います。設計図面や増改築の履歴などの資料を準備し、調査方針を定めます。
この段階には通常1〜2週間程度かかります。次に、現地調査(本調査)です。建物の構造躯体、壁や柱などの非構造部材、設備機器の状態を詳しく確認します。劣化や強度不足の有無を現場で細かく調べるため、3〜6週間ほどの時間が必要です。現地調査の結果をもとに耐震性能の計算や評価を進めます。
最後に、耐震診断結果の評価が行われます。この評価には建物の規模や複雑さによって1〜3か月程度かかる場合があります。
診断結果により、耐震リフォームの必要性が判断され、具体的な改修計画へと進んでいきます。問題があれば早めにリフォームを行うことで、地震による被害を抑え、安全性を高めることが可能です。
耐震リフォームにかかる費用の目安
ここからは、耐震リフォームにかかる費用の目安について解説します。耐震リフォームは必要だと分かっても、費用面での不安から踏み切れない場合も多いため、事前に費用の目安を把握しておくことが重要です。
日本木造住宅耐震補強事業者協同組合が2018年に発表したデータによると、耐震補強工事の平均施工金額は約163万円で、工事費用の約52%が150万円未満で収まっています。
この調査は、1950年から2000年までに建てられた2階建て以下の木造住宅が対象です。旧耐震基準の住宅のほうが新耐震基準の住宅よりも、平均施工費用が約37万円高くなります。
具体的には、旧基準住宅の平均施工金額が約183万円、新基準住宅は約146万円です。また、工事費用の分布を見ると、50万円未満の工事は全体の11%、50〜100万円未満が17%、100〜150万円未満が24%など幅広い価格帯で施工が行われています。
さらに、耐震診断を受けた住宅のうち約2割は、耐震性があると判定されても実際に耐震補強工事を実施しています。これは、東日本大震災や熊本地震など大型地震の影響で耐震や防災意識が高まっているためです。こうした背景から、耐震補強は費用だけでなく安心を得るための投資としても重要視されています。
耐震リフォームに関する補助金制度
耐震リフォームにかかる費用は決して安くなく、不安を感じる人も多いため、多くの自治体では耐震診断やリフォーム費用に対する補助金制度を設けています。補助金を受けるには、工事契約や着工前に耐震診断を受け、自治体から交付決定を得ることが条件です。
ただし、補助金の対象住宅や補助率、限度額などの詳細は自治体によって異なります。そもそも補助金制度を実施していない自治体もあるため、まずは居住地の自治体ホームページで確認することが重要です。
国は補助金を出していませんが、所得税控除や固定資産税の減額という形で耐震リフォームを支援しています。所得税の特例措置では、耐震工事の標準的な費用の10%(上限25万円)を控除できるほか、2022年度の改正でその他のリフォーム工事も控除対象に拡大されました。
これらの税制優遇を受けるには、1981年以前に建築され、自身が居住する住宅であることや、リフォーム後の住宅が新耐震基準に適合していることなどの条件があります。
まとめ
耐震リフォームは地震から家と家族を守る重要な対策ですが、費用面の不安から踏み切れない方も多いでしょう。まずは専門資格を持つプロによる耐震診断を受け、建物の強さや粘り、構造のバランス、経年劣化を総合評価します。診断結果をもとに必要な補強工事を計画し、平均的な費用は約163万円です。旧基準の住宅ほど費用が高くなる傾向があります。また、多くの自治体が補助金制度を設けており、国も所得税控除や固定資産税減額で支援しています。事前の情報確認と適切な活用で、安心・安全な住まいづくりが可能です。地震への備えとして、早めの耐震診断とリフォームをおすすめします。
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引用元:https://taishin-beri.jp/
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