耐震診断は、業者に依頼する前にセルフチェックを行うことで、懸念点を洗い出すことが可能です。本記事では、耐震診断のセルフチェックについて詳しく解説をします。最初に行う簡易チェックの内容から、部位別にもっと詳しく調べたい人向けのチェック項目まで網羅しているので、ぜひ参考にしてください。
まずは簡易チェックからスタート
耐震診断とは、建物の地震に対する強さを確認するためのもので、本格的な診断は専門家に依頼するのが一般的です。しかし、ある程度のチェックであれば、自分でも行うことが可能です。
国土交通省監修の「わが家の耐震診断」(日本建築防災協会)では、セルフチェックのための10のポイントが提示されています。これらは、建物の築年数や構造、修繕の有無、増改築の経緯、屋根や基礎の状態などに関する内容です。
たとえば「昭和56年(1981年)以降に新築されたかどうか」は、耐震基準が大きく改正された年にあたるため、非常に重要な判断材料となります。
また、過去に大きな災害に見舞われていないことや、建物の形が長方形でシンプルであること、屋根材が軽い、基礎がしっかりしているなども耐震性に関わる要素です。この10項目すべてに「○」がつけば、一定の耐震性が確保されていると考えられます。
一方で、「×」が3つ以上ある場合には、専門家による耐震診断や耐震リフォームの検討が推奨されます。また、より詳しく調べたい場合は、基礎・床下、外壁、住まい内部、小屋裏といった部位ごとに点検する方法もあります。
詳しく調べたい人向けの部位別のチェックポイント
詳細にわが家の状態を把握したい場合は、家の各部位ごとにさらに詳しい点検を行うことで、耐震性や劣化の兆候を見極めることが可能です。以下では、部位別に確認すべきポイントを紹介します。
基礎・床下のチェックポイント
まず、建物の土台を支える基礎部分にひび割れが入っていないかを確認しましょう。小さなひび割れでも、進行すると構造に影響を及ぼす可能性があります。また、白蟻の兆候として羽蟻が家の周囲を飛んでいないかにも注目が必要です。
床下換気口の前に物を置いていると通気性が悪くなり、湿気が溜まりやすく腐朽や白蟻の発生原因になります。断熱性能や湿気対策として重要な床下の断熱材も確認ポイントです。床板の裏に断熱材が適切に設置されているか、外れていないかを確認しましょう。
外壁のチェックポイント
外壁は、サイディングと塗り壁で確認項目が異なります。サイディングの場合は、継ぎ目に隙間や盛り上がりがないか、釘のまわりに割れが生じていないかをチェックしましょう。これらの症状があると、外壁がしっかり固定されていない可能性があります。
また、表面が一部だけ変色している箇所がないかも確認しておきましょう。局所的な変色は、雨漏りや結露による劣化の兆候かもしれません。塗り壁の場合は、ひび割れの有無に注目します。
とくに斜めに走る大きなひび割れは、構造の歪みや地盤の動きの影響で起きることがあり、耐震性にも関わってきます。さらに、塗装が浮いていたり、剥がれていたりする箇所がないかもチェックし、外壁の保護機能が低下していないかを確認することが大切です。
住まい内部のチェックポイント
内装の状態も、耐震性や建物の劣化を知る上で重要な指標となります。クロス貼りの壁であれば、継ぎ目が離れてきていないか、または継ぎ目以外の部分で破れやねじれがないかを確認します。これらは、壁に歪みが生じている可能性を示す兆候です。
塗り壁の場合は、開口部に斜めに走るひび割れがないかをチェックします。こうしたひびは、地震や建物の動きによる影響を受けやすい箇所で見られることがあります。また、造作材(建具や枠材)との間に隙間ができてきていないか、天井や壁に水がかかったような変色がないかなども見逃せません。
雨漏りや内部腐朽が起きている場合、耐久性が著しく低下していることがあります。さらに、白蟻の被害があると内部構造が著しく弱体化している可能性があるため、白蟻の出入りする箇所がないかも確認しましょう。
建具のチェックポイント
ドアや引き戸などの建具は、家の歪みや傾きが現れやすい部分です。開き戸が床をこすって開け閉めしにくくなっていないか、引き戸や引き違い窓の動作がスムーズかどうかを確認しましょう。
また、戸や窓を閉めた際に、枠との間に不自然な隙間ができていないかも重要です。これらの異常が見られる場合、構造の一部に変形が生じている可能性があります。
小屋裏のチェックポイント
普段目にする機会が少ない小屋裏ですが、ここにも耐震性や劣化の兆候が現れることがあります。まず、外の光が漏れている箇所がないかを確認します。屋根材がずれていたり、破損していたりすると雨漏りや風害の原因となります。
さらに、断熱材が適切に敷かれているか、隙間が空いていないかも確認しましょう。断熱材がない、あるいはずれている場合は結露や湿気がたまり、建材の劣化を早める原因になります。
加えて、小屋裏に使われている金物がゆるんでいたり、外れていたりしないかも忘れずに確認する必要があります。これらの金物は、構造をつなぎ止める重要な役割を果たしており、緩みがあると地震の揺れで損傷が広がるリスクが高くなります。
まとめ
耐震診断を専門家に依頼する前にセルフチェックを行うことは、住まいの安全性を自ら確認できる大切なプロセスです。本記事では、簡易的な診断ポイントに加え、基礎・床下から外壁、住まい内部、小屋裏まで、部位ごとのチェック項目を詳しく解説しました。築年数や構造、ひび割れ、湿気、白蟻被害など、多岐にわたる点を確認することで、見過ごされがちな劣化の兆候や耐震性の不安を発見することが可能です。大切な住まいを守るための第一歩として、ぜひ本記事を活用してください。
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引用元:https://taishin-beri.jp/
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